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2026.01.16

【開催報告】 第7回 AOBA SUMMITを開催しました

2026年1月16日、仙台国際ホテルにおいて、世界の主要放射光施設長らリーダーが一堂に会する国際会議「第7回 AOBA SUMMIT」が、東北大学と量子科学技術研究開発機構(QST)の共催にて開催されました。 本サミットは、2019年の第1回開催以来、世界の放射光科学コミュニティが直面する課題と未来像を共有する場として定着しています。第7回となる今回は、オークリッジ国立研究所 所長 Stephen Streiffer氏を座長に迎え、「A Covenant of Light: Transformative Bastion for Our Next Age(光の盟約:次代を変革する砦)」をテーマに、気候変動やエネルギー問題など地球規模の課題に対し、放射光施設がいかにして「科学の砦」となり、変革を主導すべきかについて議論が交わされました。

  • 集合写真
    <集合写真>

冒頭、主催者を代表して冨永総長より開会挨拶がありました。冨永総長からは、2024年4月に運用を開始した3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」が、官民地域パートナーシップのもと順調に稼働していることが報告されました。その上で、今回のサミットの核心的な問いとして「単なるデータ生産から、高付加価値なインテリジェンスの創出への転換」が提唱され、AIとシミュレーションの統合、そして国際的な頭脳循環の重要性が訴えられました。 続いて、文部科学省 科学技術・学術政策局長の西條正明氏より来賓挨拶(オンライン)をいただきました。西條氏からは、ナノテラスが既に産業利用で成果を上げ始めている現状が高く評価されるとともに、SPring-8の次期アップグレード計画(SPring-8-II)や、GXへの貢献など、日本の科学技術政策における放射光施設の戦略的重要性が強調されました。

第1セッションでは、NanoTerasuとSPring-8の現状と将来計画について報告が行われました。 まずQST NanoTerasuセンターの高橋正光氏より、NanoTerasuが稼働率99.6%という極めて高い安定性を実現していることが報告されました。独自の制御技術導入により当初の課題を克服し、2025年11月に定格電流でのユーザー運転を開始したことで、実験の効率が飛躍的に向上したと説明がありました。また、新型の光発生装置(アンジュレータ)の実用化により、高度な光の制御が実現したことも紹介されました。 続いて理化学研究所の石川哲也氏より、SPring-8の次期アップグレード計画「SPring-8-II」について、性能向上と省エネルギー化を両立する「グリーン・トランスフォーメーション」のモデルが提示されました。新たな技術導入により消費電力を現行比で大幅に削減する計画であることが示されました。あわせて、施設性能の飛躍的な向上に加え、国家戦略に基づく新たな利用枠を導入する運営方針についても説明されました。

第2セッションでは、施設と大学・産業界・地域がいかに連携し、イノベーションを生み出すかについて、各国の先進事例が共有されました。物理的な近接性(Proximity)と制度的な浸透性(Permeability)が成功の鍵として議論されました。 アジア地域からは、台湾NSRRCのChia-Hung Hsu氏より、半導体産業との長年にわたる連携や、大学とのクロスアポイントメント制度による人材育成モデルが紹介されました。本学の高田昌樹副理事からは、NanoTerasuにおける「アンダーワンルーフ」構想について説明があり、計測データとスパコンによるシミュレーションを即座に統合し、「測定」から「解決」へと価値提供をシフトさせている現状が紹介されました。 欧米からは、データとAIによる変革が強調されました。ESRF(欧州)のFrancesco Sette氏からは、最新鋭の光源を用いたプロジェクトによる人体臓器可視化の革新的な進歩や、大規模データの公開戦略について報告されました。APS(米国)のLaurent Chapon氏からは、国家プロジェクトの下で進められているAIモデルの構築や、スーパーコンピュータとの統合によるリアルタイム解析の実現について語られました。また、PSI(スイス)のGabriel Aeppli氏からは、施設隣接のイノベーションパークにおいて、インフラをディープテック企業と共有することで、量子技術や宇宙産業のスタートアップを育成するエコシステムが紹介されました。

最後に、QSTの小安重夫理事長より挨拶がありました。小安理事長からは、データ管理と利活用の重要性や、施設間の連携の必要性について述べられ、放射光施設は孤立した研究施設ではなく、データ、AI、そして人を結びつけ、社会課題に立ち向かうための「変革の砦」であることが再確認されました。

ナノテラス共創推進機構は、本サミットで確認された「光の盟約」に基づき、ナノテラスを核とした国際的な共創ネットワークをさらに強化し、次世代のイノベーション創出に邁進してまいります。

  • 冨永総長
    <冨永総長>
  • QST小安理事長
    <QST小安理事長>
  • Jerome Hastings氏
    <Jerome Hastings氏>
  • Stephen Streiffer氏
    <Stephen Streiffer氏>
  • 会議の様子
    <会議の様子>
  • オンライン参加者
    <オンライン参加者>
  • 参加者一覧
    <参加者一覧>

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